Handmade Jewelry by Nao goldwork
魚子 | フェズ |
魚子(ななこ)と赤銅(しゃくどう)
魚子は、奈良時代にササン朝ペルシャから中国経由で日本に伝えられた彫金技法です。
小さな粒の模様を鏨で赤銅の薄板に密に打ち込み、魚子地と呼ばれる土台を作ります。
赤銅 は銅 96~90% 、金 5~10% の合金です。現在は、硫酸銅、人工緑青(銅塩)を
水に溶かした煮液を使うようですが、この煮液中で銅と金の合金を煮沸すると表面に
亜酸化銅の皮膜が形成されます。合金中には5~10 ナノ の金微粒子が分散しており、
合金表面から反射する光量を減らし、「鳥の濡れ羽色」の漆黒の色調をもたらします。
縁(ふち)とは、日本刀の柄と鍔の間に取り付け、刃を固定する金具です。
刀装具 縁 鼠に扇子
寸法: 3.6 x 2.1 x 1.4cm、 重量: 26.3g、江戸(1600〜1868年)
材質:赤銅(しゃくどう)、銀、金
この縁には、鼠の横に開きかけた銀の扇子が落ちています。
この意匠に込められた思いを考えながら、よく見ると小さな扇子に
米俵の上で小槌をお持ちの大黒天のお姿が刻まれていました。
鼠は七福人のお一人、大黒天の神使と考えられていました。
刀の柄の先端に付ける金具を「頭」(かしら)と言います。
刀装具 頭 波濤図 立浪文様
寸法: 3.7 x 1.7 x 0.8cm、 重量: 9.8g
材質:赤銅、金銀象嵌
この頭の意匠は、金や銀の飛沫をあげる海の波濤ですが、魚子地ではなく
全面に波文様を施し、その陰影が漆黒の赤銅に力強い躍動感を与えています。
安政7年(1860年)、日米修好通商条約の批准使節のために米艦
ポーハタン号で渡米した小栗忠順の家紋が「丸に立浪」でした。
刀装具 縁頭 風鈴、矢来垣に菊、石灯篭
寸法: 3.4 x 1.6 x 0.7cm、 重量: 9.96g
意匠の中心となっている風鈴は、銅の高肉象嵌と思われます。
江戸時代末期にはオランダ経由で伝わったビイドロの風鈴が
江戸で流行していますが、ここでは銅の風鈴のように見えます。
矢来垣(やらいがき)は、竹の先端を尖らしていない透かし垣。
寸法: 3.7 x 2.1 x 0.9cm、 重量: 18.37g
石灯籠は、三本の脚がある丸雪見灯籠ですのでお庭の風景となります。
現行50円硬貨は、1967年2月1日から発行・使用されていますが、
同様な小菊の花が意匠に使用されています。
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